浮世絵 複製木版で楽しもう。

子供の時、マッチ箱に描かれていた浮世絵の風景画。その時は北斎より広重の絵の方が好きだったが今見ると絵としては北斎のほうが面白い。でも、広重の方が旅情を感じられるので江戸時代の庶民の情報源としては広重のほうが良かったのかも。浮世絵は江戸時代のグラビア、マスメディア。そもそも、大量に刷られて売られていたものだから何百万円もする真作でなくてもその価値は十分味わえるはず。そんなことで、個人的な浮世絵の関心をまとめてみましたが、絵のリンクは複製版画の通販先になっています。下に一押しの浮世絵絵師のアンケートも作りました。人気絵師のランキングを作りたいと思いますのでご協力ください。

浮世絵の簡単な歴史

年代  主な絵師   状況
 初期  菱川師宣、鈴木春信 最初は墨摺りから2〜3色の紅刷り絵から多色刷りの錦絵になり美人画が人気になる
隆盛期 鳥居清信、 東洲斎写楽喜多川歌麿  美人画、役者絵の他、春画も隆盛
 爛熟期  歌川豊国・国政国芳広重・国貞、葛飾北斎渓斎英泉  風景画、物語絵など多様化
 衰退期  月岡芳年、河鍋暁斎  西洋の染料により色が広がるが、西洋画、新聞、写真などに押されて衰退

浮世絵5大絵師

私の好きな5大絵師です。順番も私の好きな順です。
 名前  代表作 主な作品 (楽天の複製版通販にリンク)  作風
 葛飾北斎  
凱風快晴
山下白雨
甲州石班沢
総州銚子
芙蓉に雀
 世界一有名な日本の画家、大胆な構図、コンセプトのはっきりした絵で印象派に大きな影響を与えた。浮世絵だけでなく90歳の生涯で肉筆画、挿絵、西洋画、北斎漫画、春画などいろんなジャンルの作品を多く残している。浮世絵では広重と並ぶ風景画の最高峰で、その大胆な構図、色使いは比類なき才能を感じる。
 歌川国芳
宮本武蔵の鯨退治
ぼんぼん(金魚づくし)
浪裡白跳張順
東都三ツ股の図
ほぐそめ
 いろんな作品をの書いているが物語の絵も多く劇画風、その中の侠客に刺青を描いて江戸に刺青ブームを起こしたとも。擬人化した動物を描いたユーモラスな絵、だまし絵などアイデア満載で楽しい。一般的には北斎に次いで2位の評価では高すぎるが私は大好き。
 歌川広重
京師(京都) 三条大橋
庄野 白雨
水道橋駿河台
箱根 湖水図
両国花火
 北斎と並ぶ風景画の巨匠。北斎の大胆な構図に対して広重の絵は旅情あふれるストーリーが感じられる絵。東海道五十三次は視点が旅になって描かれている。
 喜多川歌麿
当時三美人
難波屋おきた
髪梳き
浮気の相
女性を描く浮世絵では一番。春画も人気がある。描写が細かのではなく、質感、色っぽさが伝わってくるよな絵が多い。ただ、歌麿は表情を描き分けたといわれているが、正直同じ顔に見えてしまう。
 東洲斎写楽
三世市川高麗蔵 志賀大七
嵐竜蔵 金貸石部金吉
松本米三郎 けはい坂少将実はしのぶ
三世大谷鬼次 奴江戸兵衛
 役者絵の天才。役者の特徴をあまりにもリアルに描いてしまい人気を得ることができず、実質10ヶ月の活動で姿を消したなぞの絵師。その絵に描かれている顔は印象に強く残る。

広重 複製木版で楽しもう。
葛飾北斎 複製木版で楽しもう。
歌川国芳 複製木版で楽しもう。
喜多川歌麿 複製木版で楽しもう。
東洲斎写楽 複製木版で楽しもう。
鈴木春信、鳥居清長 複製木版で楽しもう
歌川豊国、国政、渓斎英泉 複製木版で楽しもう

参考図書 (アマゾンにリンク) 内容
浮世絵の歴史  現代の浮世絵研究の第一人者、学習院大学教授の小林忠さんのカラー刷りの本、浮世絵のすべてを網羅的に説明されている。
徹底図解 浮世絵―江戸庶民が愛したメディアアートの歴史・名品・技法 絵画としての浮世絵だけでなく、江戸時代のメディアとしての視点、版画としての作成方法、江戸の生活との関係などがカラー刷りで説明されている。
知識ゼロからの浮世絵入門 浮世絵の入門書としてまとめられている。全ページカラー刷り、初期から順に有名な絵師34名について数ページづつ紹介、そのほか、浮世絵の作り方や、時代ごとの特徴、ヨーロッパへの影響などが書かれている。
浮世絵世界をめぐる  1870年代、1880年代、フランスを中心にジャポネズリー(日本趣味)が流行、浮世絵が画家だけでなく、多くの有力者に高く評価された。フランスだけでなく、海外での浮世絵のコレクション、コレクター、印象派の画家たちへの影響、高い評価について説明されている。私の好きな歌麿の「鮑取り」がいろんな人のコレクション、高値の記録に入っているのが見つかり、嬉しかった。
浮世絵ミステリーゾーン (講談社プラスアルファ文庫)  小説家高橋克彦が1985年に書いた本。高校生の時、国芳に衝撃を受けて浮世絵が好きになったと言うだけに、国芳への評価は共感できる。通常はあまり評価されていない国芳の風景画も、硬いが、奇妙な明るさ、近代的な感覚で北斎の後継者とまで言っている。そのほか、江戸の時代と浮世絵の役割や、各絵師の解説が熱っぽく書かれている。
高橋克彦の浮世絵ワンダーランド (コロナ・ブックス) 高橋克彦の本だが、カラー刷りの絵も多い。浮世絵の王道でなく、異国の風景を描いたものや、すごろく絵、はんじ絵、影絵、実際に切り抜いて遊ぶ絵など遊びそのものになつているなど、不思議な浮世絵が紹介されている。
江戸美術考現学―浮世絵の光と影 (浮世絵美術名品館シリーズ)  昭和63年に初版の浮世絵について書かれた本。菱川師宣、北斎、国芳、美人絵から明治以降のヨーロッパでの評価まで語られているが、もっとも広重に重きを置いて広重については、旅行先や性格についても考察されている。風景画の2大双璧として比較して、北斎のリアルで格調の高い絵と称えながらも、リアルよりロマンに意を注ぎ人情のあふれる絵として評価している。絵師の印章、画料、過去帳からの考察などいろんな視点語られていて面白い。
江戸艶本への招待  艶本、春画、枕絵なども北斎、歌麿、国芳など一流の絵師が描いているが、艶本を中心に江戸時代のこれらが描いているものの内容、文章の説明、歴史ついて詳しく書かれている。
浮世絵入門 恋する春画 (とんぼの本)  春画についての解説本は多いが、この本はカラー刷り絵と、女性編集者がイラストレーターの橋本治等3人のエキスパートとユ−モアを交えながら江戸時代の生活とからめながら説明している。たとえば、春画では吉原が描かれることはあまり多くなかったのは、廓というシチュエーションが想像力を刺激しないからだろうという橋本さんが説明していたりしている。
こんなに楽しい江戸の浮世絵―江戸の人はどう使ったか アマゾンでも中古しかないようだが、軽いタッチで浮世絵を紹介している。江戸時代のグラビア、人気スポット紹介、広告ポスター、ポルノ、国芳が作ったキャラクターほうずきんちゃん、五代国政のねずみのたわむれは江戸版ミッキーマウス、江戸時代のファション、旅行案内、マンガや、社会風刺など浮世絵のいろんな側面を一部カラーのページで紹介している。

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